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装幀という仕事 貝原浩--菊地泰博 2009年2月中旬号

kbs090202_01.jpg『仮設縁起絵巻』kbs090202_02.jpg『FAR WEST』

kbs090202_03.jpg『道元「禅」とは何か』kbs090202_04.jpg『戸籍』

菊地泰博(現代書館)
 貝原浩さんが逝って3年半が経つ。もうそろそろ「貝原の呪縛」から解き放されてもいいのではないかと思いながら、いつも頭を過ぎる。奴ならこれはどんな装幀にしただろう、どんなイラストを描いただろう、と。
 初めての仕事は、「ビギナーズ シリーズ」の『戸籍』の本文イラストだった。著者の佐藤文明さんと3人で、ほとんど毎晩アルコールを浴びながらの仕事だった。会社も私たちも若かった。日本で初めて戸籍制度に異議を唱え、戸籍問題を広く分かってもらえた、文句なくいい仕事だったし、本も売れた。
 装幀家としての貝原さんは斑があった。タイトル写植を頼むのを忘れたといっては、書き文字にし、校正刷りで、何かおかしい、よく見ると、言偏の横棒が一本多いとか、点が一つ少ないとか、よくあった(むろん、版下で気付かない編集者も問題なのだ)。にゃーと笑い「ゴメン!」と言われると、「まー仕方ないか」と、やり直しになってしまうのは、彼の人徳というものだろう。ニクメないんだよね~。
 貝原さんと池田浩士さんの、「東西両ヒロシ」の『仮設縁起絵巻』や自著『FAR WEST』はさすがに力作。反権力の弁護士、遠藤誠先生の遺作になる、道元禅師の「正法眼蔵随聞記」の全訳解説『道元「禅」とは何か』(全6巻)は、今も、多くの人に読まれている。
 どんな分野も器用にこなすが、気が入らないと手を抜き、興に乗ると勘定度外視し全力投球する、貝原さんが懐かしい。