『文学史を読みかえる5 「戦後」という制度』表紙(2002年3月)
『一九四八年』(『ペンギン・クエスチョン』1984年3月号)
『黄金郷』(同83年12月号)
『白浪五人男』(同84年5月号)
『蝙蝠』(同84年9月号)
『関東大震災』(同84年10月号)
中西昭雄(寒灯舎編集人)
月刊誌『ペンギン・クエスチョン』(1983年9月号~84年12月号、現代企画室)を編集していたときに、貝原浩さんに雑誌の最終ページに戯画「仮設縁起絵巻」を描いてもらった。全共闘時代に多くの読者をもった『朝日ジャーナル』をもじって、「報道・評論・解説・冗談」をモットーにした雑誌だったが、「冗談」部分の構想がなかなか浮かばなかった。そんなとき、天野恵一さんの紹介で貝原さんに会い、最終ページをお願いすることにし、創刊3号から掲載した。
貝原さんの戯画は、小手先の軽いタッチのものでなく、日本近現代史の底流や暗部を群像で構成するもので、丁寧に読み込んでいけばいくほど、そのエスプリと批評精神がやっと納得できるもので、好評だった。たとえば、「一九四八年」は、中央で唄う美空ひばりを、坂口安吾、太宰治の戯作派の作家、復員姿の児玉誉士夫、「踊る宗教」の北村サヨ、「パンパン嬢」、浮浪児がとりまき、自動車の陰では東条英機が命乞いをしている。このたった一枚の戯画で、「一九四八年」という年の世相史を浮き彫りにしていて、その力量と努力は並大抵のものではない。この雑誌は残念ながら16号で休刊になり、貝原さんの戯画は14回で終わってしまった。それまでの戯画とともに、池田浩士さんが文をつけて、単行本『仮設縁起絵巻』(現代書館)が刊行された。また、栗原幸夫さんや池田さんが中心になった「文学史を読みかえる研究会」の講座(全8巻、インパクト出版会)の表紙でも近現代史を色彩絵巻にしている。