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装幀という仕事 貝原浩--羽田ゆみ子 2009年7月中旬号

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羽田ゆみ子(梨の木舎)
貝原さんは、毎晩のように神保町の「萱」で飲んでいた。その前に梨の木舎の隣の部屋、M 企画印刷の前澤奈津子さんのところによることが多かった。「なっちゃ~ん」といいながら階段を登ってくる。夏だと下駄を履いている。モルタルの建物は音が筒抜けだった。
シリーズ「教科書に書かれなかった戦争」では、7点頼んでいる。最初の作品は、『天皇の神社「靖国」』で、パレードする日の丸の目をもつ皇国少年が描かれたシンプルでシャープなイラストだった。3刷りで品切れになる。PART11『川柳にみる戦時下の世相』は、鉢巻を巻いた女の子の顔の隣に、川柳「長期戦神社このごろよく儲け」とあるデザイン。軽く楽しんで描いたと思わせるイラストで、わら半紙の切れ端(と思うようなところ)に、書かれていた。同25『忘れられた人びと』に使われた少女の絵は、写真のような精密さで描かれていて、思わず息を飲んだ。まっすぐに前を見詰める少女のまなざしに、目が釘付けになった。『颯爽たる女たち』には、90過ぎて現役で活躍する女性たちが12人登場する。カバーには、華麗な百合の花の油絵が使われた。年を重ねた、「花のような女性たち」への敬意だと、わたしは受けとめた。
「旅行ガイドにないアジアを歩く」シリーズのコラージュ、『海外でつくった!人の輪・仕事の環』の色遣い、組み合わせには、貝原さん独自の世界の表現がある。直感で形を掴む人との仕事は、わたしたちに多くのものを遺していった。