« 装幀という仕事 貝原浩--池田浩士 2009年9月中旬号 | メイン | 装幀という仕事 貝原浩--木村まき 2009年11月中旬号 »

装幀という仕事 貝原浩--高橋行雄 2009年10月中旬号

高橋行雄(風涛社前社長)
変装の技術」という本を出すことになった。「おもしろそうだな、俺がやる」という勇者が現れ、「ふさわしいデザイナーを知っているぞ」との前触れをぶらさげて登場してきたのが貝原さんだった。
もう30年前のことで古い話である。
これまで、どこで、どんな仕事をしてきたのですか、とたずねると、"N新聞社が読者サービスに出している、暮らしの知恵のようなことを中身とした月刊誌のアートディレクターをやってきたのだが、もう飽きたな"といい、これからは本の装丁のような仕事をセンモンにしたいな!と叫んだのであった。
そのころ、本作りは、それぞれの会社(小さい出版社)の一人の編集者の仕事で、本文用紙や見返し、扉の資材の選定から手配、表紙、カバーのデザインから印刷所の指定など、忙しげにやっているものであった。「満員電車に割り込むようなもんだな!無茶はよせ」と引き止めたのだったが、貝原さんの気持ちは強く、「芸大のとき、相撲部にいて唯一人リーグで勝ったことのあったのは、オレだけだ」というのをきき、強そうに見えたので、口説きは、それまでだった。
その貝原さんは、初志を貫き立派な貝原ワールドをつくったのは周知のとおりだ、相撲部の仲間に逢ったときのこと「彼の得意技は何でしたか?」「打っちゃりだったな」の答えが返ってきた。